鋳造工程の実際

インジェクションワックスをツリー状に立てます。埋没工程で石膏を流し込む際の空気の抜け、水の流れ、地金の流れなどを総合的に考慮して作業を進めます。

ツリーが完成したらステンレスのパイプを被せ、埋没工程に備えます。商品とパイプとの側面は、石膏強度を考慮するうえで適切な空間が必要です。

パイプの上部にも空間が必要です。ここは鋳型の底にあたる部分でもあるので、側面よりも更に十分な余裕を確保する必要があります。

ワックスツリーはゴムの土台をベースに立てます。ツリー根元の円錐状の部分は、流し込まれた地金の自重により注入圧力を助ける役割を兼ねます。

埋没工程で石膏を流したら、真空脱泡機で中の空気を排出させます。機械から取り出し、石膏が固まるまで、しばらく待機します。

石膏が固まりしだいゴム台を取り外します。炉にて焼成するとワックスは消失しツリーと全く同じ空洞ができあがります。

一番手前のパイプが弊社で通常使用している鋳型です(有効寸法:内径60mm×高さ70mm)。その他、様々なサイズの鋳型を用意しています。

弊社の鋳造方法では酸化が限りなく抑えられているため、ほとんどの商品で酸処理の必要がありません。仕上げの手間が大幅に軽減されます。

湯道を切断、デザインごとに仕分け、検品、計量をして出荷の準備をします。仕上げまでご依頼の場合は、このあと研磨の職人に引き継がれます。

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鋳造工賃の計算方法についての補足

鋳造工賃は、「基本工賃」「グラム工賃」「地金代」の3つからなります。

「基本工賃」は品物の形状に関わらず1個あたりにかかる鋳造工賃、「グラム工賃」は品物の重さに応じてかかる鋳造工賃、「地金代」は地金相場に応じた地金そのものの代金です。

本来の鋳造コストは品物の大きさ(ボリューム)によるため、実物の大きさを測り単価を計算するのが理想です。しかし、大きさは測り方により、人により様々な解釈ができるため、計算するたびに単価が前後することがあります。特に小ロット生産では1つ1つお見積もりをすることが困難なため、重さによる計算方法を採用しました。これにより同じ品物は、いつもほぼ同じ単価を導くことが可能となります。

大至急のご依頼の場合の、特急料金適用の可能性について

SILVER(925)とBRASS(真鍮)は毎日欠かさず鋳造しておりますので、迅速な納期にて出荷することができます。

その他の地金はご注文が少量のため、すべてのお客様からご依頼がある程度まとまってから鋳造工程に進みます。数量がまとまった場合でも同じ鋳型かつ同じ条件で鋳造できるとは限らないため、相応の数量が必要になる場合があります。

他のお客様からのご依頼は不定期で、期日をお約束できるものではありませんので、納期に余裕のない場合は「特急料金」を適用させていただければお客様の商品のみで鋳造することも可能です。「特急料金」は、通常のような重さに比例する計算方法(基本工賃+グラム工賃)とは異なり、鋳型単位の単価となります。素材別の特急料金(鋳型単価)は下の表をご覧ください。

例えば、Pt900の結婚指輪がどうしても1週間以内に必要な場合。他のお客様からのご依頼は期待しないほうが無難でしょう。通常、鋳型へはツリー状に何十本ものリングを仕込むことで、リング1本あたりのコストが抑えられます。プラチナであれば鋳型1つあたり14400円の費用がかかるため、1つの鋳型に30本仕込めるボリュームのプラチナリングであれば、14400円÷30本=480円となり、リング1本あたり480円のコストで済むことになります。

2本のみで鋳造を進める場合、たった2本のリングに全ての費用がかかるため、リング1本につき7200円(14400円÷2本=7200円)と効率良く鋳造した場合と比べて15倍もコスト高になってします。できるだけお客様の負担を減らすために、納期に余裕がある限りは他のお客様方へサポートニュース等でお伺いをたて数量をまとめる努力をいたします。一定の数量が集まれば通常どおりの重さによる方法で計算させていただきますが、如何ともしがたい場合は特急料金を適用させていただきますのでご了解ください。

鋳造工賃(1本あたりの単価) = 特急料金 ÷ ご注文数

特急料金表(円/1鋳型あたり)
SILVER(925)
SILVER(PSV)
SILVER(YSV)
BRASS(真鍮)
K10yg,K10PG
9600
K18YG,K18PG19200
K14WG
pt900
28800
※SILVER(925)とBRASS(真鍮)は毎日鋳造があるため、実質特急料金は発生しません

※ 表は左右にスクロールしてご覧いただけます。

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鋳造の許容範囲(できるもの、できないもの)

【鋳造不可能】

・肉厚が薄すぎるもの(0.1mm以下)
・ボリュームが大きすぎるもの
・鋳型の枠内に収まらない寸法のもの

【条件付で鋳造可能】

・レース等の繊維、葉っぱ、木の枝、昆虫
・複数のワックスを張り合わせて作られたもので、内部にスキマが空間が残っているもの。
・湯道をつけるスペースが全くなく全面に彫刻がなされているもの。
・接着剤などを使用したもの。
・内部に空洞があり、その開口部が極端に狭いもの。
・文字やテクスチャーの彫りが鋭角で深すぎるもの。
・本体のボリュームに対して、付随した丸カンや爪などが細すぎるもの。
・デザインの穴や凹みが、深すぎたり細すぎるもの(石膏強度の限界)

※上記の範囲を超えるものでも条件によっては問題なく鋳造可能な場合もございます。
※条件付は一定の品質を確保できない可能性が高いことをご了解いただきます。

すべてのゴム型から鋳造できるとは限りません

他社製のゴム型を弊社へ持ち込みされ、キャストのご相談をいただくケースが急増しています。

品質や納期や対応など、更なる好条件を求めて全国の業者を巡られていることと思いますが、そんな中、弊社をご利用いただくことに深く感謝しております。ただし他社製のゴム型は弊社では使用できない(適切な品質を確保できない)場合があります。

キャストの業者は国内にいくつもございます。各社各様の設備や経験に基づいて、それぞれの環境に最も適した製造方法を確立していると思われますが、ゴム型だけに限っても、形、大きさ、硬さ、切開の仕方、湯道の取りまわし、作業効率など各社ともに考えが異なります。異なる環境のもとで作られたゴム型が、その他すべてのキャスト業者に適するとは限らないことをご理解ください。

キャストはそれほど単純なものではありません。わずかに歯車が狂っただけでも品質に大きな影響を及ぼします。キャストに100%は存在しませんが、各社とも可能な限り100%を目指して工夫している中で、ほんの少しの違いは決して小さいものではなくなります。環境にあわないゴム型によって満足のできない鋳造品をお納めすることは、私どもの本意ではありません。

弊社では、可能な限り良質な製品をご提供するため、原則としてゴム型の作成からご依頼ください。すでに他社製のゴム型をお持ちの場合はお送りいただければ利用可能か拝見したします。一定の品質を確保できないと判断される場合は他社製ゴム型の使用をお断りいたします。金型原型をお送りいただいてゴム型作成からご依頼ください。


ゴム型製作

完成仕上げ

地金相場

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